ハイブリッドコーティング技術

  • 金属、樹脂、セラミックスなどコア材料となる3次元立体形状基材表面に、熱的なダメージ等を与えることなく、数μm から数百μm に及ぶ広い膜厚範囲で、シェルとなるセラミックスや金属の機能層を密着力良く形成できれば、3D造形技術や軽量部材や耐熱部材の設計に新たな展開が図れます。また、既に実⽤化されている対象製品の設計において、既存の設計手法を大きく変え、新規な材料開発だけでは現実的に対応困難な機能アップや工程の簡素化による製造コスト低減な どを容易に実現できる可能性があり、新たな市場の開拓も期待できます。
  • 従来のコーティング技術では、実⽤的な密着力を得るためのアンカー層の形成や膜の緻密さ、微細組織の制御性、複合層の材質選択の組み合わせ等に限界があり、実⽤レベルの製品性能を得られる応⽤事例には大きな制約がありました。
  • そこで、このプロジェクトでは、産総研で独自開発された常温セラミックスコーティングが可能なエアロゾルデポジション(AD)法や最近溶射分野で注目されているコールドスプレー(CS)法、サスペンションプラズマ溶射法など、従来の溶射法とはその成膜原理が異なる新規コーティング手法を活⽤・発展させ、従来の機械加工や現行の3D積層造形法で形成された3次元造形物、部材表面に密着性の高いセラミックス複合膜、積層膜のコーティングを施すことで、製品機能、製品性能の向上と同時にコスト低減を実現するハイブリッドAD(エアロゾルデポジション)技術や微粒子スラリー溶射技術等の開発を目指しています。

ハイブリッドAD技術

ハイブリッドAD技術
  • ハイブリッドAD技術は、圧力効果を基本原理にするAD法と熱効果を基本原理にする溶射法を連続的に切り替えられるようにし、両手法の長所をうまく融合させようとする技術です。
  • AD法は、常温衝撃固化現象を利⽤し、粒子-基材、粒子同⼠を強固に結合させ、緻密、高密着なセラミックス膜、金属皮膜が常温で形成できます。また、溶射法で⽤いる粒子より微細な粒子の粒子径を制御することで、密着力の良い緻密な膜からポーラスな膜まで常温で形成できます。
  • しかし、AD法は、成膜速度や成膜適⽤厚みの点では従来薄膜法に⽐べると優れているのですが、溶射法に⽐べると劣っていました。そこで、ハイブリッドAD法では、プラズマの援⽤などにより溶射法での熱効果による粒子間結合の促進も利⽤し、従来のAD法の欠点を補おうとするものです。
  • このプラズマ援⽤の効果は、過去の研究開発プロジェクト「ナノレベル電子セラミックス材料低温成形・集積化技術」の中でプラズマ援⽤AD法として検討され、AD法に⽐べ数倍程度の成膜速度の向上が確認されています。
ハイブリッドAD技術
ハイブリッドAD技術

微粒子スラリー溶射技術

微粒子スラリー溶射技術
  • 微粒子スラリー溶射技術では、液体樹脂にセラミックス微粒子を高濃度に分散したペーストを原材料とした、新しいコーティングプロセスの確立を目指しています。ペースト素材を圧搾空気によって噴射しマイクロミスト化し、プラズマなどの高温熱源流体により基板上に吹き付け、緻密なセラミックス層を高速で成膜します。
  • 従来の溶射技術では噴射装置の内部での狭窄により取り扱いが困難とされてきたナノ微粒子を⽤いることにより、⻲裂や気孔のない機械的特性が優れたセラミックスコーティングが期待できます。また、ナノ微粒子を可燃性溶媒へ低濃度で分散し、流動性のある液体素材として溶射装置へ導入することで、高い製膜速度が確保できます。
  • さらに、自動制御のロボットアームに溶射ガンを設置することで、大面積のコーティングや自由曲面への施工も可能となります。
セラミックス市場